こんにちは。マウンテンマンです。
コロナ禍により、大手メーカーが先陣を切る形でリモートワークが始まりました。既に1年以上が経過しました。
地方で働くマウンテンマンも大手の傘の下で働いていますので、その波にしっかり飲み込まれ、リモートワーク下で課長の仕事を行うことに。そこで感じたことは
「プロジェクトの進捗、大丈夫かな…」
「連絡も報告もないな…。ちゃんと仕事しているよな…?」
「あいつ、一人暮らしだったな。倒れてたりしないよな…、まさか。」
などなど、隣で仕事をしていた時には考えなかったことばかり。
一方、部下はというと、けむたい上司と顔を合わせずに済むようになって、喜んでいるかもしれません。でも、課長は、部下を放ってはおけない。
今回紹介するのは、リモートワーク時代の課長が持つべき考え方や価値観を示した1冊。「課長2.0」です。
この本は、次のようなお悩みを持つ方にオススメです!
- リモートワーク下で、部下との関係がギクシャクしている管理職の方
- リモートワークで、部下のパフォーマンスが落ちているという管理職の方
- 管理職の経験が浅い、あるいはリモートマネジメントに課題を感じている方
どんな本
書籍情報
タイトル | 課長2.0 リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
著者 | 前田鎌利 |
定価 | \1,500+税 |
マウンテンマンがこの本を手に取ったのは、リモートワーク時に、部下と上手くコミュニケーションが取れていない、と感じており、実際、部下にメンタル不調が見受けられたタイミングでした。本書のサブタイトルは次のとおり、
”リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法”
加えて”2.0″というのも、アップデートを象徴するようなネーミング。
「従来の管理職のやり方では、やっていけないんだな…」
と不安になりながら、すがるような気持ちで本を開きました。
著者:前田鎌利さん
著者の前田鎌利(かまり)さんについて、紹介しておきます。
前田さんはこんな方です。
- 芸大卒で書道を専攻
- 携帯電話販売会社 → ジェイフォン → ボーダフォン → ソフトバンクモバイルと歩み、マネージャーのキャリアを積む
- 孫正義氏の薫陶を受けたあと、離れた拠点にいるメンバーをリモートでまとめ上げ新事業に取り組む
- その後独立し、プレゼンテーションクリエイター、兼、書家となる
別記事でレビューした本の著者も、ソフトバンクグループ企業にお勤めの方でしたが、前田さんもソフトバンクの方でした。本当にすごい会社ですよね~。感心しきりです。
本の概要
本書は、リモートワークが今後の日本でも定着していくだろう、とした上で、
目隠しをされた状態でマネジメントする時代になったーーー
引用:「課長2.0」P5
このように断言しています。
リモートワークで部下の働きぶりが見えなくなったことを、“目隠し”と表現しているのですが、これは本当に大変なことですよ。
仕事のプロセスが見えないんですから…。
前田さんは、”ソフトバンク・アカデミア”に選抜され、事業提案、事業化に至ったことを契機に、コロナ禍となるよりずっと前からリモートマネジメントを行っていたそうです。
課長2.0は、前田さんが磨き上げたリモートマネジメントのノウハウ、考え方、そして経験が余すことなく紹介されています。
ベテランのマネージャーや経験豊富な方には、新しみがないかもしれません。しかし、ペーペー課長のマウンテンマンには、生々しい経験談やマネジメントの考え方は大変参考になりました。実際に現場で実践できることもいろいろありましたし。
本書は、新米課長や、リモートで苦労されている方に向けて、状況を改善するヒントがちりばめられた本となっています。
学びがあったポイント
本書を読んで得られた気付き、学びがあったポイントは次の3点です。
- 部下も血の通った人間。管理が「モノの管理」になっていないか?
- マネジメントには”信頼関係”というインフラが必須
- 人は育てるのではなく、勝手に育つものである
部下も血の通った人間。管理が「モノの管理」になっていないか?
課長は、上からのタスクを部下におろして、きちんと実施してもらう必要があります。実施のフォローをして、期限を守らせて。
その他、プロジェクトのスケジュール管理も、遅れが出ないようフォローして。遅れの兆候があったら、どうするのかを考えさせて。
前田さんは次のように述べています。
ある辞書で「管理」という言葉をひくと、「ある規準などから外れないよう、全体を統制すること」と書いてありますが、彼らは、「管理職」の職務をこのようなイメージで捉えているのではないでしょうか。だからこそ、「規準などから外れないよう」にするために、メンバーを「監視」しようとするのだと思うのです。
引用:「課長2.0」P38
部下は血の通った人間。いつの間にか「モノ」の管理になっていないか。
これはギクリとしました。生真面目に職務を果たそうとしている人は特に注意が必要です。管理しなければ、と考えるあまり、部下の感情ないがしろにし、管理することが目的になっていたかもしれません。
マネジメントには”信頼関係”というインフラが必須
マネジメントには、”信頼関係”というインフラがしっかり構築されていないと、うまくいくはずはありません。これは自分の経験としても、共感できる主張でした。
リモートワークで、接触時間が圧倒的に減り、心理的にも距離を感じるようになってしまいます。
リアルのマネジメント時は、仕事ぶりを目視できるのですが、目隠しとなるリモート・マネジメントではそうはいきません。
信頼関係など重要とも考えない管理職の方は、リモートワークになった時、苦労も多かったのではないでしょうか。私は、ビジネスライクは苦手なタイプです。できれば、部下とは信頼関係を結びたいと思っています。
ゆえに、前田さんの以下の言葉は、胸に刻みたいと思いました。
「メンバーを信頼する」と決断するのが、管理職の第一歩である
引用:「課長2.0」P47
人は育てるのではなく、勝手に育つものである
これは、リモートワークの前段階、信頼関係を結ぶにあたって持つべき考え方です。
私が課長となる前は、後輩たちを一手に指導する立場にありました。
その時は、とにかく若いメンバーを一本立ちさせないと、という使命感はもっていたものの、それ以上に、なかなか仕事を覚えられないメンバーに対して、いら立ちを感じていたことがあります。
課長になった後も育成は続きますが、自分と同じようにこなせるよう教え込むというやり方は、なかなか成果がでませんでした。
いつかできるようになるはず、と信じていたのですが、今思えばなんと傲慢だったか。
「指導」とは、メンバー一人ひとりの「志向性」「適正」を把握して、それを最大限に発揮する機会を提供すること。そして、彼らの自発性を尊重しながら、成功体験を得られるように全力でサポートすることである、と。
引用:「課長2.0」P127
自分に合わないやり方を上から押し付けられるなんて、部下からすれば拷問ですよね。
自分のやり方を教えて、部下がそれを再現できるならよいかもしれません。でも、やり方が合わないと分かれば、部下に傾聴する。そして、あらゆる支援を惜しまず、背中を押すようなやり方もあるのだと学ぶことができました。
最後に
マウンテンマンが課長となったころは、社会情勢もあり、部下は毎月のほとんどをリモートワークすることになっていました。
淡々と仕事をこなすメンバーが多い中で、一人だけ、心をすり減らしていたメンバーがいました。当時の最年少メンバー。のちのカウンセリングで知るところとなりました。
慣れない課長の仕事で精いっぱいとなり、目隠し状態にもかかわらず、勝手な思い込みで”便りがないのは元気な証拠”、などと考えてしまっていました。
このことは、私にとっても大変ショックで、深く反省しました。その後、二度と同じことはすまいと自分なりのマネジメントを追い求める中、出会った本のうちの1冊が本書です。
粒度は様々、学びも様々です。
最後に前田さんの印象的な言葉を1つ紹介します。この言葉が心に触れた方は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
管理職にとってチームとは「家族」である
だから、私は、新しい部署の管理職になったら、メンバーに対して、こう宣言することにしていました。
「みなさんは、自分の家族だと思っています」
引用:「課長2.0」P48
最後までお読みいただきありがとうございました!
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