こんにちは、マウンテンマンです。
IT企業の管理職(課長)として日々部下と向き合っている私が、管理職として成長するために心理学を学ぶ記録です。本投稿では、ピグマリオン効果について語ります。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果は、教育心理学における心理的行動の1つです。別名、教師期待効果、あるいはローゼンタール効果とも呼ばれます。その効果とは、『教師が生徒に期待を示すことで、実際に生徒の成績が向上した』ことを示しています。
関連:ゴーレム効果
全く逆の効果もあり、それはゴーレム効果と呼ばれます。『期待されていないという実感を持った生徒の成績は実際に下がる』というものです。
学校ではなく、会社となれば、部下に期待を示すことで部下のパフォーマンスが向上し、逆に、期待されていないと実感させてしまうと、部下のパフォーマンスは落ちてしまう、ということが言えます。これは、経験則にも合致している気がします。
ホーソン効果との違い
ピグマリオン効果に類似した効果に、ホーソン効果、があります。ホーソン効果は、『注目を浴びることで、相手の期待に応えたいと感じ、好結果を生み出す効果』を指します。チーム内のミーティングで、メンバーを褒め、称える、ということを行うことで、認められたい、という欲求が高まり、モチベーションも向上することがある、とされています。
ピグマリオン効果は、教師と生徒、メンターとメンティー、上司と部下の関係性の中に生まれるものですが、ホーソン効果は、組織の中の、メンバーと第3者の間で生まれる効果、という違いがあります。
マネジメントへ活用する
ピグマリオン効果をマネジメントに活用するための具体的な行動として、次の事柄が挙げられます。
期待していることを、程よいバランスで伝える
ピグマリオン効果を狙っているのに、期待感を態度で伝える、というのはいけません。しっかりと言葉にして、部下へ期待を伝えましょう。
ただ、以下の点は注意してください。
- 取って付けたような中身のない期待を伝えるのは避ける(または的外れ、突拍子もない期待)
- 期待が重荷とならないようにする
達成困難、あるいは少し困難な目標を立ててもらう
仕事をこなす事はある意味で当たり前のことです。当たり前のことを褒めるというのは、一定の効果はありますが、更なる成長を期待するには、若干物足りません。
もし、ミスが多い部下にミスを減らしてもらう、という状況だとすれば、「もう少し慎重になれば、更に良くなるよ」という声かけもできます。しかし、それだとミスがほとんどない優秀な部下には、期待がかけづらいかもしれません。
優秀な部下でも、そうでない部下でも、達成が難しい目標に向かって努力をしてもらえれば、結果がどうであれ、フィードバックをすることで、スムースに期待を伝えやすくなるでしょう。
目標達成プロセスにも目を向ける
業務を遂行するため、部下の方々は、日々心をすり減らしています。
そのため、目標達成できないという事もよくあることと思います。そのような時、部下が『期待に応えられなかった…』と落ち込んでしまうかもしれません。
そのような時、私なら、目標達成のために努力した事実を評価したいと思います。プロセスを見てくれていると思えば、部下は心理的に安心感を覚えます。
チームメンバーには公平に接する
組織運営をする管理職としては、無用な摩擦は避けなければなりません。期待を示す行為は、一部の部下だけを対象にするのではなく、公平にしましょう。えこひいきと受け止められないよう、注意が必要です。
自分が管理職になって思うこと
過去を振り返ると、私が新人の頃の上司は、私に興味がなかったように思います。朝だけ顔を合わせて、その後、出ずっぱり。声かけされることもありませんでした。
当然、期待を伝えてもらうことは皆無。当時は、『そんなもの』と割り切っていましたが、同時に『僕に興味がないんだろうな』とも感じていました。
おそらく上司には、私を育成しようという意識はなかったと思います。私の部署は、上司や先輩、皆が、一人一人が個人事業主のような働き方でしたので。
ただ、私が管理職となった今では、状況は変わりました。
管理職は、1人で仕事をこなせません。部下に働いてもらう必要があります。したがって、部下を育成することが何より重要だと思います。期待を伝えるだけで成長が加速するなら、安いものです。
まとめ
人の心理として、上司に褒められたり、期待されたりしたら、それに応えたいと思うのは、極めて自然な反応だと思います。
ただし、上司が信頼できる人でなかったら、示された期待を素直に受け取れるでしょうか?
心理効果にばかり気を取られて本質を見落とさないことが大切です。こちらの期待を正しく受け取ってもらえるよう、日頃から、部下との信頼関係をきちんと構築しておきましょう。それによって初めて、ピグマリオン効果が活用できるのだと思います。
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